①中学の定期テストの成績が8点から36日で80点を突破し、クラスで2位になった生徒
この生徒は、アルファベットもまともに覚えていない、書くことすらままならないほどの英語アレルギ
ーの状態でした。
りんごが嫌いな生徒にいきなり「りんご」を与えるのではなく、嫌いな「りんご」をどうしたら自ら手に
取ろうという気にさせるかを工夫しました。

具体的な指導法:
1 .単語のキャッチボール:英⇔英を繰り返し、その単語の日本語での意味を心に思い浮かべさせます。そ
の後、英⇔日(双方向)のキャッチボールを教科書の全ての単語で行います。
2 .新しい文法事項の説明:教科書本文の新しい文法事項だけを簡単に説明し、覚えた単語を使って言葉で
文章にさせます。
3.英⇔英→英⇔日へのキャッチボール(文章):教科書のテスト範囲全ての文章で、口頭のみでキャッ
チボールを行います。言葉にすることで、スムーズにインタラクションが進みます。
4.アウトプット演習と書くことでの定着:双方向のインプット⇔アウトプットにより、教科書の範囲を終
え、ノート1冊を「もし書けるなら頑張ってね!」と強制せずに渡します。

次回の定期テスト1週間前に、渡したノートを確認すると、全ページにわたって教科書の文章が書き連
ねられていました。そして、2冊目、3冊目も自分で購入し、単語ではなく全て文章で何度も、汚い字で
ありましたが、3冊目の最後まで書き尽くしていました。

生徒が変化したプロセスは以下のようにまとめられます:
1 .まず単語を言葉で自分のものにさせます。
2.次に文法を簡単に教え込み、覚えた単語を使いまくります。肯定文、疑問文、否定文をバランス良く言わせ、使わせます。質問を起点に発展させ、双方向のアウトプット演習とインタラクションを行います。
3 .最後は書くことで定着させます。何度も何度も書いて自分のものになることで、安心感や充実感を得て、自己肯定感が高まり、英語が好きになります。これにより、自然と点数も爆上がりにつながっていきました。

②A高校を退学した生徒で「一年でベネッセ模試の偏差値が60程度から80以上に飛躍した」生徒

これは、語彙の完全な定着、細かい指導、そして文法の本当の理解の成果です。この生徒は完全に語彙を定着させ、文法を応用・展開できるようになり、入試問題を完璧に解けるようになりました。
特に、繊細な性格を利用した指導が成功の鍵でした。文法の細かいところにまで気になる性格で、その質問に1つ1つ向き合い、時には私も勉強しながら経験を持って答えていったことで力をつけていきました。今もその生徒への指導をベースとした文法の指導プリントの活用をしています。

フェニックス学習館では基本的に、文法と語彙(語彙と熟語)の確実な定着を重視した指導を行っています。近年、中学生の文法の本質的な理解が段々緩くなってきているのでそこを補って強化しています。文法については様々な活用を提示したり、大学入試まで見据えた深みある説明したりして、中学校での指導で浅くなりがちな文法の本質的理解を補完・強化するために、パターン・プラクティスを多く取り入れ、演繹法を用いた指導を行います。また、文法を軸として英作文を数多く作らせ、添削に力を入れます。書く作業を通して自己表現させ、アウトプットする喜びを感じてもらうことを目指しており、その後はスピーチも取り入れ、長文の英作文を覚えて伝える指導に力を入れています。

生徒への向き合い方が重要と認識しています。
英語が苦手な生徒にはあえて発言させ、授業の一員であることを実感してもらうことを大切にしています。教師は生徒のために一生懸命接しているのだと理解してもらうためです。
この際の注意点は、生徒の努力をしっかり見極め、少し考える時間を設けることです。例えば、できるはずのことを答えさせる授業で、ついついできる生徒ばかりに当ててしまいがちですが、できるだけ多くの生徒に当てることが望ましいです。単語一つでもいいので、できない生徒に当てて答えられた経験が、生徒が「教師に当てられたことに対して答えられた」と自信を持ち、自立して次のステップヘ進むきっかけになると考えます。
また、その生徒は次に当てられた時に答えられるように、家に帰ってからも、少しでも単語を覚えようと前向きになれるように導く姿勢を大事にしています。ただし、生徒の力量を超える質問を繰り返す場合は、やる気をなくしてしまうことも想定しておくことが大切です。一人ひとりの生徒の能力を見極め、それぞれの能力を高めていく授業を考えるのが教師の役割かと思います。
生徒と向き合い、多量のインプットとアウトプットを盛んに繰り返すことで、教師が生徒の反応に合わせて一体となる充実した授業が展開できます。このような授業展開において、できない生徒が正確にできるように、どんな言葉を投げかけ、正確にできるようになるまで粘り強く導き、褒めて授業参加の意識を肯定してあげる配慮が何よりも大切です。また、この時のやり取りは書かせるのではなく、言葉のキャッチボールとしてやり取りをすることが、数をこなす・答えるハードルを下げることに効果的です。
加えて、教師が生徒たちのテンションを高める働きかけも非常に重要です。一方的に教え込む時間も大切ですが、授業は復習から入り、前回の流れを再現した後で、復習事項のインプットとアウトプットを相当量行い、生徒とのインタラクションの時間をとって理解を深めていくことも重視しています。例えば、新しい文法事項を教える際は、最初から教えずに復習から入り、授業の半ばから教えていくことも生徒たちの授業における反応を良くするために行っています。文法未定着の生徒たちが達成感を味わえるように導く流れを、生徒たちと一緒に意識的に行うことが大切だと考えます。

単語自体に興味を持たせるようにするべきであり、「ただ覚えておけば良い」や「覚えなければいけない」といった強制的な言葉は避けるべきです。強制は強迫観念につながり、定期テストのために詰め込んでも、復習を忘れて先に進むと、数ヶ月後には記憶に残らないことがほとんどです。テストのために覚えるだけの動機では、覚える喜びが失われてしまいます。単語の本当の本質的な意味を、できるだけ論理的に教え込むことが重要です。どんどん単語と文法を使って自己表現させ、アウトプットを完成させ、伝える喜びを感じさせるのです。WritingからSpeakingへと力を高め、DebateやCommunication力へと高めていく指導のあり方を真剣に悩み、様々な実験を行うようにしています。初歩的な実験から、次第に完成へと向かう発展的な実験へと、生徒と一体となって行うことが、失敗を伴うこともありますが、生徒との心の交流にもつながり、非常に良い経験となります。

高校一年で教える英文法指導を甘くしてしまうと、高校二年で多少の上積みはあるものの、一年生の時に学んだ英文法が正確に覚えられていないため、・追加指導が体系的でなく、効果が薄くなります。
フェニックス学習館では一年の最初から、大学受験レベルまで見通して一気に体系的に教え込むことで、二年生以降の模試の成績でも対応できる力をつけさせ、生徒たちのモチベーション向上につなげています。高校で英語好きにさせるには、学んだことをもって、模試(基礎レベルから難問まで段階を踏んで)で点数を取らせることが不可欠です。授業を受けても模試の成績が上がらないと、生徒は授業自体の価値を疑問視してしまい、真剣に参加しても心の中で疑問を抱いているため、授業が盛り上がらず、教師の指導意欲も下がってしまう、相互の悪循環に陥ってしまうと思います。

今の文法指導は、基礎から大学入試レベルまで一気に教え込む体系的なスタイルを取り入れると良さそうです。学校では英文法の演習と並行して、国公立大学や私立大学を念頭に置き、英語構文における英語自体の構造を十分に解説し、英語を英語で理解させる取り組みが重要だと考えています。

次に、「直訳から自然な日本語とはどういう日本語か?」という問いを常に意識することです。
例えば、「Education by the parents of their children is important.」(子供たちの両親による教育は重要である)というような直訳では、点数になりにくく、減点の対象となる可能性があります。
「That the parents educate their children is important.」のようにSVOの関係を見抜かせ、by+名詞がSとして、of+名詞がSかOか、for/to/on+ 名詞がOとなることを理解させ、それらが「~は重要である」と自然な日本語に変換できる技術を数多く教え込んでいます。

このように、英語から日本語への変換を感覚的ではなく論理的に行うことで、生徒たちのモチベーションは一気に高まります。この英語構文指導のような授業を考えれば、それが英作文の構築に大きな力となります。
これが国公立大学や私立大学の英語で成功する要因となり、3年生になってから良く伸びる生徒を育てることにもつながります。
大学入学共通テストのリスニングで点を取らせるためには、普段の英語指導において、リスニングが得意になる指導を、生徒と一体となって週に2回以上は行います。
CDを流すだけの授業では、モチベーションが上がらず、英語を嫌いになる可能性も否めません。
フェニックス学習館ではリーディングとリスニングを同時に効果的に伸ばす方法として、双方向を意識しています。具体的に以下の速読法のステップがあります。
1単語・語句・熟語のクイックレスポンス:英文の中でスラッシュをつけて細かい区切りごとに、単語、語句、熟語を**英⇔日(双方向)**で十分量生徒に当てながらクイックレスポンスをさせます。教師は教室を歩き回りながらインタラクションを行い、確実な定着を促します。慣れるまでは最短の区切りから始め、教師のフレーズに従い、クイックレスポンスができるところから始めるのが良いです。
2.シャドウイング:教師が話した後に、生徒に**Faster & Louder(どんどん速く、大きく)**を意識させて読ませます。わざと変顔で導くなど、段階的に進めます。
3.サイトトランスレーション(前から読み上げ):英文を細かい区切りでスラッシュをつけ、前から読み上げていきます。最初はできない生徒でも、できるようになるにつれて自信がつき、徐々に生徒自身の背中を押す形になります。この1→2→3の流れは、速読の基本であり、英語の強みとなります。区切りごとに英⇔日で生徒に語りかけながら、必ず当てて返させます。

近年、大学入学共通テストでリスニングの配点が増え、帰国子女に配慮のある大学も増えていますが、現状ではリーディングの方がリスニングより配点が大きいです。ただ、リスニングは生徒が受け身だと、点数が全く伸びないです。そのため、クイックレスポンスのやりとりや、シャドウイングを数回繰り返すことは非常に有効です。さらにレベルを上げるには、上記1→2→3のステップに加え、「日→英」でのクイックレスポンスも行うと良いです。この際も、最初はできるだけ最短で区切って、教師の生徒へのサポートが大切です。

この速読法は、リーディングにもリスニングにも有効であると生徒たちは気づきます。全員参加型のインプットとアウトプット、双方向式の生徒との心のキャッチボールを上手く活用した指導が可能になり、中学英語からの良い引き渡しにもつながり、大きな期待ができます。また、リーディングやリスニングだけでなく、特に大学入学共通テストにおける長文化に十分対応できる指導を日頃の授業に落とし込んでいく必要性が高まっていることを実感いたします。

これまでの経験から、このような指導を積極的に展開すれば生徒たちは喜んでついていこうとするようになります。皆様の日常の指導の一助になれば幸いです。